武蔵小杉ハートクリニック

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循環器内科って??~Part 1~


こんにちは。院長(仮)の菊池です。

9月にオープンする武蔵小杉ハートクリニックですが、標榜する診療科(「うちのクリニックはこれを専門に診療します!」と保健所に届け出る科)は「循環器内科」です。

ここで質問です。
Q.整形外科ってなにを診てくれる診療科ですか?
A.骨折などのケガや筋肉の病気などを治してくれます!
→正解です。
Q.産婦人科ってなにを診てくれる診療科ですか?
A.妊婦さんのお産の管理や、子宮・卵巣の病気を治療をしてくれます!
→正解です。
Q.循環器内科ってなにを診てくれる診療科ですか?
A.じゅ、循環っすか??
→まあ、そんなもんですよね。

そうなんです。病院にある診療科(総合病院だと、だいたい20前後あります)のなかでも、なにを診てくれるか判らないランキングTop3に入るのが循環器内科です。自虐的ですが、事実です。

そこで、今日は”循環器内科とはなんぞや??”というお話をします。

循環器学(Cardiology)は語源は”Kardia(ギリシャ語)=心臓”に由来し、Cardio(心臓の)-logy(学問)でCardiologyです。これを見ても分かるように、狭義では「心臓病」を診療する科といえます。しかしながら、心臓のお仕事は全身に血液を回すことであり、血液は「血管」を通って全身をめぐるものですから、心臓と血管は切っても切り離せない関係にあります。なので、「血管病」も診療します。
「血液の循環を担当する臓器(心臓と血管)を診療する内科=循環器内科」というネーミングになります。ちなみに、血液の主なお仕事は免疫(外部からきたバイ菌と戦う)や酸素と栄養の運搬、血液を固める/溶かすなどの任務になります。「じゃあ血液の病気は診ないの?」と思われるかもしれませんが、血液関係で我々循環器内科医が診療するのは、せいぜい血を固めたり溶かしたりする”凝固系”を抑える薬の投与や、凝固系とは違う作用で血を固める「血小板」の作用を弱める薬を使う、ないしは貧血(赤血球という酸素の運搬をしている血液内の粒が減ってしまう病気。俗にいう、「血が薄い」というもの)の原因を調べて自分で治せる範囲の貧血を治す程度です。残念ながら、大抵の循環内科医はガチンコの血液の病気(白血病など)は診療できません。それは「血液内科」のお仕事です。

では、心臓と血管の病気をもう少し詳しくお話しします。まずは、心臓から。

心臓は胸の左側にあります!という方が多いですが、少々違います。正確にはほぼ真ん中にあり、左側に突出した形をしています。昔、理科の授業でやったと思いますが、「心臓の筋肉=心筋」が壁となり4つのお部屋(2つの心房と2つの心室)を形成していて、リズムよく”ドクッ!ドクッ!”と動いて「大動脈」と「肺動脈」というデカい血管に血を送り出します。4つのお部屋の間には「」という扉がついていて、血が逆流するのを防いでいます。そして、心臓自身に血液を送るのが「冠動脈」です。これらのどこかに不具合が生じると「心臓病」になります。

① 心筋の不具合=心筋症
心臓の筋肉は元気に拡張(この時に血液を心室内に取り込む)と収縮(心室内に取り込んだ血液を吐き出す)を繰り返して、ポンプのように血液を送り出します。主役は左側の心室「左心室」の筋肉ですが、この筋肉自体が病気になることがあります。左心室の”筋肉は適度に力強く、適度にしなやか”でなければならず、マッチョすぎてもヤセすぎてもダメなのです。病気によってマッチョになりすぎるとしなやかさがなくなり、心室の”拡張”がうまくできなくなります。ヤセすぎると力強さがなくなり、心室の”収縮”がうまくできなくなります。マッチョすぎるものの代表が「肥大型心筋症」、ヤセすぎるものの代表例が「拡張型心筋症」です。

② 4つのお部屋の構造上の不具合=先天性心疾患
4つのお部屋がきちんと形成されていない、ないしは壁に穴が開いてしまっているなどの構造上の不具合を生まれながらにして持っている方がいます。「先天性心疾患」と呼ばれ、大抵の場合は「小児科/小児心臓外科」の出番で、生まれて間もなく~青年期までに手術などの積極的治療が必要になるものが多いです。

 

 

 

 

③ リズムの不具合=不整脈
心臓はリズムよく拡張/収縮をしないとポンプとしての本来のスペックを出せません。心臓は自身に微弱な電気を流し、この電気信号が4つのお部屋を統率してリズムよく動いています。このリズムが乱れることを「不整脈」と言います。ちなみに、皆さん一度は受けたことがある検査「心電図」は、この微弱な電気信号を記録しているものです。不整脈には一刻一秒を争って電気ショックなどの治療を必要とする危険なもの(心室細動,無脈性心室頻拍=致死性不整脈と呼ばれます)から、ほっといても問題ないものまで沢山の種類があります。患者さんにとっては、”脈が飛ぶ”、”ドキドキする”などの症状で現れることが多いです。

ちなみに、トリビアをひとつ。
よく、ドラマや映画で、心臓が止まった人に「電気ショックだぁ!離れてぇ!!」とやっている場面がありますね。で、見事、息を吹き返す・・・と。あれ、半分間違ってます。電気ショックは「電気的除細動」と呼ばれる、致死性不整脈に対する治療のひとつにすぎず、死んだ人を蘇らせる魔法ではありません。また、電気ショックだけで蘇生するわけではなく、心臓マッサージや人工呼吸などの心肺蘇生法とのコンビネーションが必須です。心電図をつけても一直線になって”ピーーッ”となっている状態、要は心臓は動いていないし、電気信号すらも出していない「心静止」という状態には電気ショックは無効です。ドラマではよく心静止でも電気ショックをかけると役者さんが「げほっ」とか言いながら蘇りますが・・・あり得ません(*ノωノ)

ところで、最近では街中にも電気的除細動の機械があふれてきていますね。
そう、これ、「AED」です。一般の方でも正しい電気ショックができるように作られた全自動式除細動器で、あれは優秀です。
これは街中で致死性不整脈で倒れた人を助けることのできる最終兵器です。正しく使えば医学の心得がなくても、まさに死にゆく人を三途の川から引き戻すことができます。俗っぽい話で申し訳ないですが、一般の方が偶然居合わせて倒れた方に心肺蘇生を行い、その方が救命された時などは消防や自治体から表彰されます。Real Heroの証です。ちなみに、努力の甲斐なく心肺蘇生を行った対象の方
が亡くなったとしても、罪に問われることはないのでご安心を。倒れている方を見たら、積極的に声掛け、心肺蘇生を!!
まず、それには知識が必要です。
AEDの正しい使い方を始めとした「心肺蘇生法」の講習をぜひ受けましょう!!近くの病院や消防署などで定期的に無料講習会が行われています(ちなみに、日本医科大学武蔵小杉病院でもやっています)。このブログを読んで講習会に行ってくれた人が一人でもいたら、循環器医として望外の喜びです!

④ 弁の不具合=弁膜症
弁には血液の流れを一定方向にする役割、すなわち逆流防止の仕事があります。扉です。
これには2種類の不具合があり「狭すぎ」と「合わなすぎ」です。2枚ないしは3枚の扉で出来ていますが、”合わせ”の部分が”癒着”などで狭くなりすぎると血流を阻害してしまいます。合わせの部分が合わなくなると、血液の逆流を起こします。4つの弁でそれぞれ2種類の不具合なので、計8種類がありますが、代表的なものは、「大動脈弁」という扉の狭窄ないしは逆流と、「僧帽弁」という扉の逆流、「三尖弁」という扉の逆流です。その他はあまり日本の成人では見かけません。

⑤ 冠動脈の不具合=虚血性心疾患
冠動脈は心臓自身に血液、すなわち栄養と酸素を送る専用の血管です。ここに動脈硬化(血管の内側に悪い脂の塊が溜まる)などで狭くなってしまった場所ができると血流が悪くなり、心臓への栄養・酸素の補給が滞ります。すると、心臓はピンチだと考え、痛みを発します。これが有名な「狭心症」です。一方で、冠動脈に溜まった悪い脂の塊=冠動脈プラークというのは膜一枚で血液と隔てられているようなもので、この膜が何かの拍子で破れると、血液の中に悪い脂の塊が流れ出します。すると、これを「臭いものには蓋!」と血液が固まって覆いつくそうとしますが、この血液の塊、すなわち”カサブタ”が血管を閉塞してしまうことがあります。そうなると心臓の筋肉に栄養・酸素が全く供給されなくなり、筋肉は壊死し始めます。これが「心筋梗塞」です。とっても怖い病気です。自分の専門分野でもある緊急心臓カテーテル治療を以てしても、約1割弱の方が亡くなってしまいます。

と、心臓病は構造の不具合から分類すると解りやすいと思います。

血管の病気に関しては、また近日中に「循環器内科って??~Part2~」でお話しします。

ちなみに、今は山形県の鶴岡これを書いてます。週に一回、カテーテル治療をしに来てます。飛行機で弾丸ツアーですが、結構楽しいです。
この話も、また後日。では、お付き合いありがとうございました(‘ω’)ノ

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