心臓は全身に血を送るためのポンプの役割を果たしています。心臓自体も筋肉でできているので、元気に動くためには、酸素と栄養が十分に行きわたらなければなりません。
心臓に血液を送る血管を「冠動脈」と呼び、これは心臓の周囲を取り囲むようにあるものです。冠動脈が動脈硬化(生活習慣病の項目)で狭くなってしまうと、充分な血流を心臓自身に送れなくなってしまいます。そうなると心臓が、「必要な血液が充分に流れてこない」と警告を発します。これが「狭心症」と呼ばれる病気なのです。
狭心症のおもな症状は、胸の中央の痛み、圧迫感、絞扼(こうやく)感(しめつけられる感じ)などが挙げられます。さらに奥歯の浮くような感じや痛み、左肩の強い凝りや張り、痛みを伴うこともあり、これを「放散痛」と呼んでいます。
最初のうちは、心臓がたくさんの酸素を必要とする運動の時だけ、症状が出ることが多く(労作性狭心症)、筋肉痛のように安静にしていると症状が治まるケースが多いです。けれども、病気が進行してしまうと、たとえ安静時であっても、症状が顕著に現れるようになります。これを「不安定狭心症」と呼び、労作性狭心症は緊急性が高くなります。